So-net Media Networks

企業概要

ソニーグループ:マーケティングテクノロジー企業
ソネット・メディア・ネットワークス株式会社

2000年設立、2015年東京証券取引所マザーズ上場。ソニーグループのマーケティングテクノロ ジー会社として、確かな技術力と豊かな発想力で、最先端の広告配信サービスを提供している。 主力事業であるDSP(Demand Side Platform)は、ビッグデータ高速処理と自社開発の人工 知能エンジンを基盤に成長を続けており、マーケティング領域での新規事業も展開している。

最先端の研究から新しいビジネスが創られる。

国内外トップレベルの大学・大学院から、エンジニアが集う理由。 ある人は、アカデミズムの最高峰と言える大学・大学院から。 ある人は、ソニーコンピューターサイエンス研究所から。彼らはなぜビジネスの道を選び、 ソネット・メディア・ネットワークス(以下、SMN)に入社したのか。また、大学生や大学院生はなぜ、 SMNのインターンに参加するのか。座談会を開催し、その理由について語ってもらった。

~月間数ペタ単位もの ビッグデータを糸口に、 世の中の非合理をなくしたい。~

̶―まずはお二人の入社の経緯を教えてください。

坂田:東京大学大学院の博士課程3年時に、 SMNのインターンへ参加したことがきっか けで、入社しました。大学の研究では、成果が出るまでに分野によっては10年もの長い時間がかかることも珍しくなく、しかもその研究が本当に意味があるかどうかも、実際に成果が出るまでわかりません。一方、ビジネスの現場に触れてみてわかったのは、理論から実際にプロダクトができるまでのスピードが桁違いに速いということです。私には、アカデミズムよりもビジネスのほうが肌に合っていると感じました。特にSMNは、新しいビジネスを創ることに対して理解があり、スピード感をもって取り組んでいる印象を受けました。実際、SMNに入社してみると、デジタル・マーケティング支援プラットフォーム「VALIS-Cockpit」の場合は、私が行った理論研究からリリースまでわずか1年という破格のスピードでした。

上田:ソニーコンピューターサイエンス研究所にいた2年間で、新規事業を起こすならア セットのあるところで戦うべきだと考えるようになりました。もともと、研究に没頭するよ りも、新しいテクノロジーをビジネス化することに興味があったんです。そこで、新しい事 業を創ることに集中できる環境を求めていたところ、同じソニーグループ内のSMNに辿り着きました。

―SMNへの入社の決め手は何でしたか?

坂田:「データ分析を通じて、世の中を効率化したい」という私の思いに強い共感を示してくれたことです。社会と自分との間に初めて接点ができたのは、3.11東日本大震災を テーマとしたグーグル主催のデータワークショップに参加した時でした。被災者のGPS データをもらって、避難時の行動パターンを調べました。人間がより合理的な行動を選び取ることができれば、より多くの命を救うことができるという考え方に感銘を受けました。マーケティングも同じだと思うんです。先入観を排除し、データに基づき意思決定すれば、世の中のあらゆる非合理を減らせます。そこにタッチできる仕事をしたいという思いを語ったところ、真剣に耳を傾けてくれたのがSMNでした。

上田:入社の決め手は、良質なデータを大量に抱えている点です。SMNは、月間3000億 件のWebの行動履歴や、月間1億件の購買 履歴といった、数ペタバイトに及ぶ独自データを保有しています。これだけのデータがあれば、様々なビジネスを生み出すチャンスが あるだろうと感じました。さらに、エンジニア が大きな裁量をもって研究開発に取り組め る自由な風土にも心惹かれ、Joinすることを 決めました。

~データを分析し、ユーザーの態度変容を促すという醍醐味。~

―現在はどのような業務に取り組まれていますか?

坂田:データサイエンティストとしての、データ分析、サービス開発、そのコアとなるアルゴリズムの開発を行っています。

上田:私の役割は、坂田たちデータサイエン ティストが研究開発した新しい分析手法を、 「プロダクト化」すること。いわゆるデータエンジニアに近い仕事です。どんなに優れた 分析手法でも、大量のデータを処理するためには計算コストが膨大になりがちです。それを安定的かつ安価に提供できないと、ビジネスとしては成立しません。お客様の意見を聞き、次の研究に活かし、プロダクトに反映する。このサイクルをスピーディーに回せるのがa.i lab.の楽しさです。

―a.i lab.は、SMNの中でどのような役割を担っているのですか?

坂田:機械学習技術を活用してマーケティングを最適化し、世の中の経済活動を活性化させることが、a.i lab.のミッションです。メインのフィールドはインターネット広告。人が広告の商品やサービスを購入する行動の理由やモチベーションに迫る仕事です。サービスとしてリリースをするの はもちろん、 GitHubへのライブラリ公開や論文投稿、技術ブログの執筆などを通して、自分のキャリアに生かすこともできます。

―アドテクという分野の特徴や面白みはなんでしょうか?

坂田:取り扱うデータ量の膨大さに加えて、 情報精度の高さが大きな特徴です。一般に、 データサイエンスは8割の前処理と、2割の機械学習と言われるくらい、前処理が重要で時間も要します。他の分野だと、都度アンケートを取ったり、実験からデータを取ったりする必要がありますが、インターネット広告は計測技術が確立しているのと、充実した分析基盤のおかげで、煩雑な前処理から解 放され、技術に専念できる環境と言えます。

上田:広告を表示して、ユーザーがどう行動を変えたかが実際のログとしてわかるのが、 アドテクの特徴であり面白さですね。また、 ただ観測するだけではなく、そのデータを解釈し、ビジネスに生かせるのも面白いところだと感じます。

~インターネット広告の枠を超え、マーケティングを、世の中を変えられる。~

―a.i lab.で働く魅力についてお聞かせください。

坂田:自分が「面白い」「これは新しい」「世の 中に必要だ」と思うことに積極的に取り組むことができます。目的がずれてさえいなければ、やりたいことは基本的には進めていい。 今はプロジェクトを並行して10件くらい進めていますが、いずれも刺激的です。自分がやりたい、必要だと思うことを当たり前のようにできるのが楽しいですね。

上田:月間3000億PVというものすごい量のデータをうまくさばけたとき、面白いですね。 日本最大級のポータルサイトの月間PV数は 約800億。その4倍のデータ量を扱っていま す。しかもたった3人のメンバーで。新しい技術に貪欲な若手を中心とした組織でやって いるからこそできることです。

―a.i lab.の今後の展望についてお聞かせください。

坂田:現在の取り組みとしては、不快に思われがちなインターネット広告を心地いいものに変えていくことが挙げられます。「貰って嬉しい広告」をいかに実現するか日々考えています。今はまだインターネット広告がメインフィールドですが、今後は活動の幅を横に広げ、商業活動全般をより良いものにしていきたいですね。たとえば、リアル店舗でのマーケティング施策や、ものを「売る」だけではなく、「つくる」領域まで踏み込んでいくこと。どの会社とどの会社がコラボしたらうまくいくかを、データから導き出すこと。取り組みたいテーマは多岐に渡ります。

―今後a.i lab.へJoinする人たちに期待することはなんですか?

上田:主体性ですね。SMNは自分から働きかける人が活躍できる会社です。上司、先輩から仕事がふってくることほとんどありません。自ら課題を発見し、提案できる人には最高のフィールドです。

坂田:世の中にないものを作ってみたい。自分の勉強してきたことを披露したい。そんな強い意志を期待しています。実際、今Joinしてくれているインターンの学生たちには正解 のないテーマに日々取り組んでもらっています。「これまで誰もできなかったから、まずは 取り組んでみよう」というスタンスです。

上田 健太郎
a.i lab. データエンジニア/VALIS-Cockpit開発責任者
東京工業大学 制御システム工学科卒。東京大学大学院 情報学環修了。2014 年ソニー株式会社入社。当時、新卒として歴代初めて、ソニーCSL(ソニーコン ピューターサイエンス研究所)に配属され、ネットワークサービスの新規事業 企画・アプリケーション開発に従事。法人間コミュニケーションの煩雑さに着 目し、ウェブサービスで解決すべく企画・開発・営業を一気通貫で実行。2016 年ソネット・メディア・ネットワークス株式会社にJoinし、2017年12月にリリー スを迎えたデジタル・マーケティング支援プラットフォーム「VALIS-Cockpit」 では開発責任者となる。データサイエンティストが開発した分析手法をス ピーディーに実装すべく、日々システムの改良に取り組んでいる。
坂田 隼人
a.i lab. データサイエンティスト
東京大学大学院 新領域創成科学研究科 情報生命科学専攻修了。Bioinformaticsを研究する傍ら、東日本大震災ビッグデータワークショップで避難行動に関する分析発表等も行う。博士課 程在学中にソネット・メディア・ネットワークスと出会い、アカデミ ズムからビジネスの道へ。膨大なデータを操るデータサイエンス とソフトウェアスキルを活用した研究開発に従事。「Logicad」に おける新たな配信手法の開発、ユーザインサイトの抽出の実現など貢献多数。“貰って嬉しい広告”を実現すべく、購買動機の深い洞察に基づいた新たな広告配信戦略を日々考案している。

機械学習、ビッグデータ、プロのコード。 研究とビジネスが結びつくインターン。

~ビジネスの最前線で、まだ誰も答えを見つけていないテーマに取り組む面白さ~

―どんなきっかけでインターンに参加しましたか?

齋藤:去年の工大祭でSMNのブースをたまたま訪れ、プレゼンを聞いたことがきっかけ です。そこで、あるユーザーがあるページを開くと、どの広告を出すか瞬時にオークションが走り、実際に出稿する広告が決まるというインターネット広告の仕組みに興味がわきました。プレゼンの後社員の方と話をしたところ、「一回会社に来てみないか?」と話があり、面談を経て、インターンに参加させていただくことになりました。

陳:私は齋藤君と同じ研究室に所属しています。そこへ、坂田さんがSMNでの研究についてプレゼンする機会があったのが、出会いのきっかけです。そのお話の中では、最新のディープラーニングの研究手法を使って、 ユーザー特徴量の効率的なベクトル表現を求める研究に興味を持ちました。その場で質問をしたのがきっかけでメールをし、会社見学に来ないかと誘っていただきました。

進藤:高校の先輩が、私のことをSMNの社員さんに紹介してくれたことがきっかけです。「人が何かに興味を持つとき、そこにはなにかしらの共通法則があるはず」ともともと考えており、機械学習、特にレコメンドシス テムには興味がありました。ただ、これまで勉強する機会がなかったので、Skypeでお話を聞いたうえで、ぜひインターンに参加したいと手を挙げ、夏休みを利用して日本に帰国しました。

―インターンの内容について、教えてください。

齋藤:広告の因果効果を推定する研究をしています。たとえば車の広告であれば、従来は機械学習で購入確率を予測し、車を買いそうな人をターゲットにして広告を出していました。ただ、この手法は実はあまり効果がなく、広告を出さずとも購入してくれるユーザーに対しても広告を出しており、費用対効果が悪いのではと考えました。では、「広告を表示させることに意味のあるユーザー」をどう抽出し、どうアプローチすればいいか。 これを大きなテーマとして、産学連携の共同研究という形で現在は取り組んでいます。論文が書けたら、会社のデータに適用する予定です。最終的にビジネス化できたら嬉しいですね。

陳:インターンでは、興味を持ったユーザーのベクトル表現をテーマに取り組んでいます。word2vecという自然言語処理の分野で 有名な手法から着想を得て、単語のようにユーザーもベクトル表現ができれば、より高精度な予測を実現できるのではないかと考えています。私についてくれているメンターの先輩は、自然言語処理のエキスパートなので、その先輩が書いたコードや論文を読んで勉強し、いずれ自分で実装できるようになりたいです。

進藤:私のテーマは、商品レコメンドのアルゴリズムの精度を上げることです。ユーザー数もアイテムの数も非常に多く、スピーディーに処理できることが重要になるので、凝った手法を取ればよい、というわけではありません。その前提で、どう工夫すればアルゴリズムのパフォーマンスが向上するのかを日々検証しています。

―インターンに参加して、どんな成果や経験がありましたか?

齋藤:インターンに参加するまでは自分で機械学習は勉強していたものの、実データに触ったことはありませんでした。実際にデータに触らせてもらうと、その膨大な量に圧倒されます。これを自由に活用できるチャンスなんて、一人ではまず手に入りません。また、自分の書いたコードを社員の方に見てもらい、アドバイスをもらえる環境にも感謝しています。

陳:データをいかに保存し、いかに利用するかを勉強できたことが大きな成果ですね。 コードについても、ただ書くのではなく、ビジネスに応用するためにはどう書けばいいかも学んでいます。ビジネスへの応用という観点をもって日々のインターンに取り組み、その実感も持てています。

進藤:私が行き詰って社員に相談したとき、即座にいくつもの新たなアイデアを提示して くださり、社員のレベルの高さに驚きました。九州大学の博士で入社1年目の社員にも、 論文に書かれた数式を教えてもらうために気軽に声をかけています。「こういう人になりたい」と思える人たちに出会えたことが、大きな収穫でした。

―インターンに参加して、何に驚きましたか?

齋藤:インターンというと、手を動かし続けるイメージがありましたが、実際に参加してみると仕事と勉強の境目がないことに驚きました。しかも、自分の興味ある分野について取り組めています。ときには、丸1日使って論文 を読んでいる日もあります。

陳:人のコードを見て、人のプログラミングスタイルを学べることに驚きました。自分一 人でひたすら書いていると、自分の欠点はわからない。プロが書くコードを見て、自分のものにしていけるのはありがたい環境ですね

坂田:インターンに参加しているからこそ、新しいことを吸収してほしいと思っているの で、プロジェクトに関係するインターンの方たちには、積極的に情報共有をしています。 また、私たちとしても、優秀な方々からの新鮮で鋭い意見がもらえるというメリットもあります。インターン制度は、新しいビジネスを 創るうえで必要な投資と捉えていて、皆さんには快適に勉強してもらいながら、成果を出してもらえればなお嬉しいですね。

―インターンへの応募を検討中の学生さんに、ひと言お願いします。

坂田:私も学生の頃にインターンをしていましたが、必ずしも先進的なことに取り組めた わけではありません。その点、SMNのインターンはビジネスと直結した先進的な取り組みを行いながら、勉強ができ、論文を書くこともできます。自分が学生の頃にもこんな場があったらよかったのにと、うらやましく思います(笑)。

齋藤:仕事というより、勉強しに来ている感覚でインターンに取り組んでいます。楽しいですし、論文として学会に通すことができたら目に見える実績にもなります。それが大きなモチベーションになっています。

陳:上下関係のないフラットな雰囲気なので、のびのびと研究ができています。学生の身で膨大なデータを背景にディープラーニングを学べる環境はそうそうありません。そんな中、新しいことにも積極的にチャレンジ できるので、自分のキャリアにとって必ずプラスになると思います。

上田:学生の皆さんが楽しく勉強してくれているのは嬉しいですね。私たちとしても、インターンの皆さんには、柔軟な発想を期待しています。長く働いているとどうしても頭も固く なり、固定観念に縛られてくるので。

坂田:SMNでインターンをすることが、一人ひとりのキャリアにとってプラスになっていたらうれしいですね。取り組んだ研究の実績を引っさげて、海外の大学院に進学するなど、高みを目指してほしいですね。

進藤 鴻吉
カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)Computer Science専攻3年。ハイレベルな学びと実績 を得るため、夏休みの間日本へ帰国、SMNでフルタイムのインターンに参加。機械学習、特にレコメンド技術への興味から、SMN独自開発のレコメンドアルゴリズムの改善に取り組んでいる。
齋藤 優太
東京工業大学工学院経営工学系3年。昨年の東京工業 大学学園祭でSMNと出会い、昨年12月よりインターンを開始。機械学習、統計的因果推論、多腕バンディットアルゴリズムに興味をもち、現在、坂田チューターの下で、機械学習を用いた因果推論の新たな予測手法・評価指標に関する研究を行う。
陳 晨
東京工業大学工学院経営工学系修士1年。機械学習、 画像生成、自然言語処理に興味があり、インターンでは、ユーザーのWebページ閲覧履歴を利用した汎用的 なユーザー特徴ベクトルの生成に関する研究に従事。